ボタニカルって何?
香りからジンを知る
資料確認:2026年10月20日

まずは、好きな香りをひとつ思い浮かべてみてください。レモンの皮、お茶をいれるときの香り、生姜を切ったときの気配。ジンの「ボタニカル」を知る入口は、植物の名前を暗記することより、その小さな好みです。
ボタニカルは、香りをつくる植物素材。
ジンでいうボタニカルは、香りや味わいを与える植物由来の素材のこと。実だけでなく、果皮、種、葉、根、樹皮なども使います。ジュニパーベリーは、ジンの香りの土台になる代表的な素材です。[1]
「何種類入っているか」より、「自分が気になる素材はあるか」から。まず一本の商品説明で、知っている名前をひとつ見つけてみましょう。
柑橘やお茶。身近な香りから、ジンを知る。
レモンの皮をむくと、果汁とは違う香りが立ちます。スパイスの瓶を開けたり、お茶の袋に鼻を近づけたり。そのときの「いい香り」が、ジンを選ぶ手がかりになります。
たとえば「ボンベイ・サファイア」の公式資料には、ジュニパー、レモンピール、コリアンダーシードなど、10種類のボタニカルが並びます。ピールは果皮、シードは種のこと。コリアンダーも、ここでは料理に添える葉ではなく、種が使われています。[2]
「季の美 京都ドライジン」(きのび)なら、柚子、玉露、生姜など。京都蒸溜所は、11種類の素材を香りと味わいで六つのグループに分けています。「お茶のあるジンが気になる」と思ったら、その興味から「季の美」の記事へ進んでみてください。[3]
同じ素材があっても、同じジンにはならない。
原料表が少し読めるようになると、次は「レモンを使うジンは、みんな似ているの?」という疑問が出てきます。ここでおもしろいのが、素材の選び方だけでなく、香りの取り出し方にも造り手の考えがあることです。
図の内容を文章で読む
サファイアの原料例はレモンの果皮とコリアンダーの種。季の美の原料例は玉露と生姜。サファイアは蒸気で香りを取り込む方法、季の美は六つのグループに分けて蒸溜しブレンドする方法を用いる。同じ素材を使っていても同じジンになるとは限らない。
「ボンベイ・サファイア」は、ボタニカルに蒸気を通して香りを取り込むヴェイパー・インフュージョンという方法を採用。一方、「季の美」は六つのグループを別々に蒸溜し、最後にブレンドします。蒸溜は、液体を加熱して生じた蒸気を冷やし、再び液体として集める工程。ブレンドは、それらを合わせることです。[3][4]
素材の名前は、完成した味の答えではなく、造り手を知る入口。種類の多さだけで優劣を決めるより、「どう組み合わせたのだろう」と読むと、一本のボトルが少し立体的に見えてきます。
香りは、正解を当てなくていい。
もし一杯を楽しむなら、最初は「柑橘っぽい」「草や木を思い出す」「どこか甘い香り」くらいの言葉で十分です。グラスに顔を近づけすぎず、無理のない距離から。銘柄の説明どおりに感じなくても、失敗ではありません。
そして、ボタニカルとガーニッシュは別のもの。ガーニッシュは、飲み物に添える果皮やハーブなどのことです。グラスのレモンから来る香りもあるので、「レモンの香りがする」だけでは、ジンの原料までは決められません。
気に入ったら、銘柄と一緒に「柑橘が好きだった」とひと言メモする。その言葉は、お店で次の一杯を相談するときにも役立ちます。詳しくなるためではなく、好きなものにまた出会うために。ボタニカルは、そのための小さな地図です。
植物由来でも、健康によいお酒という意味ではありません。飲酒は20歳になってから。飲まない選択も大切に、無理のない範囲で楽しんでください。
出典・確かめたいこと
- Sipsmith|Exploring Sipsmith’s London Dry Gin Botanicals:ボタニカルの意味、使われる植物の部位。
- Bombay Sapphire公式|Bombay Sapphire Gin 1L:10種類のボタニカル。英国向けの原料紹介。
- 京都蒸溜所|季の美 京都ドライジン:現行の素材一覧、六つのエレメント、個別蒸溜とブレンド。
- Bombay Sapphire公式|Bombay Sapphire:ヴェイパー・インフュージョン。
資料確認:2026年10月20日